『俺の話は長い』は、今どきの幸せの感じ方をこっそり教えてくれているドラマなんだと思う

PR
記事内に広告が含まれています。
PR

「あそこに豆腐としらたき入れて食べたら
めっちゃおいしそう」

主人公・満(生田斗真)の姪・春海(清原果耶)が
大好物のすき焼きを食べた帰り道に
夜空に浮かぶ満月を卵に見立て言うセリフ。

『俺の話は長い』1話・其の一
「すき焼きと自転車」を見て、
このドラマで一番描きたいことって
これなんじゃないかなって思った。

まず『俺の話は長い』について紹介すると、
主人公の満は、自分で開店したこだわりのコーヒー店に
失敗してから、まともに働きもせず実家でニート状態。
父は亡くなり、母・房枝(原田美枝子)と2人暮らし。
その母は、家の喫茶店を細々と切り盛りしている。

そんな中、姉・綾子(小池栄子)が
家を建て替えるため、その間の住まいとして
春海と夫・光司(安田顕)を連れて
満たちとともに暮らすことに……。

一見、満がニートなだけで、
あとは問題を抱えていない家族に見えるけれど、
実はかなりアンバランス。

綾子は光司とは再婚なので
春海にとって、光司は継父。
だから、春海はなかなか光司になじめない。

当の春海は中学校を登校拒否中。

綾子は過去の離婚の後ろめたさがあるからか
あまり春海へ強気に出られない。

その一方で、仕事をしない満には強気で、
母にも満を説得するよう促す。

でも「俺の話は長い」というくらい
口減らずで屁理屈な男・満は
姉の口撃にまったくひるまない。

母は満がこんな性格だからか、
仕事をしろなんて絶対言わない。

とはいえ、
「コーヒー屋なんてあきらめた」
とは言うものの、
満自身も釈然としない気持ちは
抱えているようで……。

こうやって見ていくと、
登場人物に未来への希望を持っている人が
ほとんどいない。

そして1話を見る限り、
一応まわりは、
満に仕事するようせっつくし、
春海に学校へ行くよう説得するけど、
誰もそこにゴールを求めている感じがしない。

ホームドラマ(家族をテーマにしたドラマ)っていうと
明るい未来のゴールがぼんやりとあって、
そこを目指すため、
日常で起こるトラブルを乗り越えていく話
が多かったように感じる。

たとえば、(アニメだけど)『サザエさん』とか
『時間ですよ』とか、『ダブル・キッチン』とかも
そうだと思う。

でも、そんなよくわかんない
もしかしたら起こるかもしれない
明るい未来を目指すことが
主人公にとっても家族にとっても幸せ。

というのではなくて、
今という瞬間をいかに堪能できるのかが
主人公にとっても家族にとっても幸せ=今どきの幸せ
だと言いたいのが
今回のこのドラマなんじゃないかと思っている。

だから、冒頭の
月に豆腐としらたき入れて食べちゃいたい
というセリフは、
いかにすき焼きを食べている時間が幸せかを
言い表した言葉で、
「今を楽しむ」という現代の価値観に
ピッタリフィットした表現。

その証拠に、春海自身がそう思うことを
「私、病気かな?」(月ですき焼きを連想する幸福に)
と満に尋ね、
それに対して「病気だね」と、
春海の幸福感を肯定して、
自分も幸せそうな表情をする。

だから、私は冒頭のセリフを
このドラマで一番描きたかったこと
と言ったわけ。

もしかしたら、今後この作品は、
紆余曲折はあるものの、
前進しているようには見えない結末を迎えるかもしれない。

でも、
満と姉との丁々発止のやり取りや
なんだかんだウマが合う満と姪との会話、
実はダメ人間同士で五十歩百歩の満と光司との馴れ合い、
満に漬けこまれているのはわかっているけど
それすらもうれしい母。

もう、この設定を楽しむだけで
(ドラマでのやり取りを楽しむ瞬間が幸せなら)
このドラマは価値あるものなんだと思う。

『俺の話は長い』は『hulu』で見られます!


※本ページの情報は2019年10月時点のものです。最新の配信状況はhuluサイトにてご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました