【ドラマ『滅相も無い』あらすじ・レビュー】巨大な穴を巡るSFヒューマンドラマって?

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2024年4月16日からTBSで火曜25:28(MBSは火曜24:59)に放送中のドラマ『滅相も無い』。堤真一、中川大志、染谷将太、上白石萌歌、森田想、古舘寛治、平原テツ、中嶋朋子、窪田正孝が出演。ナレーションを津田健次郎が務めるSFヒューマンドラマ。
この作品の各話あらすじ・レビューを書いた記事です。

目次

イラスト・撮影・舞台で描かれる巨大な穴とそれに入りたい人とは……? (1話)

あらすじ

7つの巨大な穴が突如現れた日本。これは何なのか調査するものの、調査員として派遣された者は誰一人帰ってくることなく不明のまま。しかし調査は打ち切られ、穴への立ち入り規制もなくなり、そこへ入る者も出てきた。

とはいえ、依然として出てくる者はいない。それを見て、穴の中には苦しみから逃れられるものがあると言い出す者が出てきた。それが小澤(堤真一)。
彼は穴を神と崇め、団体を作り、穴に入るためのルールを作る。それは、穴に入れるのは12月1日〜30日の間のみ。入る前にその理由を話し、記録しておくこと。

彼を支持し、穴に入る予定の8人は12月1日に小澤が持つ施設に集まった。そして、入る時期が早い者から理由を話すことに。
その中で一番早く入る予定の川端(中川大志)は、子供の頃から怒れなかったエピソードを話すが……。

レビュー

前提となる穴についての説明はイラスト。8人が集まっているところは、実際にある施設で撮影された映像。川端の回想シーンは舞台。
3種類の異なるタイプのシーンを活用して進んでいくドラマ。
イラストはまだしも、ドラマの中で舞台が展開されるのは、意外と面食らう。小学生時代の回想も本人がやるものだから、ランドセル背負ってるし。
ただ慣れてしまうと、すんなり受け止められるのが不思議。玄関のドアだって、おそらく板とかでできたセットが突然出てくるシーンになってるのに気にならない。BGMを演奏しているであろうバンドメンバーが佇んでいても気にならない。

そして、穴に入る予定の8人のリーダーでもあり、彼らが崇めている小澤は施設にはおらず。川端の回想にしか出てこないという大胆な演出。てっきり、小澤が主人公だと思っていたのに。
ちなみに小澤が登場したのは、川端の相談に乗るシーン。怒れない理由は幼少期に両親に合わせ態度を変えていて、怒りという感情を抑えていたからではないかと答えていた。
言ってることは説得力あるけど、そこしか出てこないなんて……。

そして、川端の話は結局「怒り」は難しいということで終わる。

じゃあ、穴に入りたい理由は一体何なの!?

途中で舞台のシーンが出てくること、小澤がほとんど登場しないことにもビックリしたのに、穴に入りたい理由もぼんやりしているのにまた驚かされる。
おそらく、明確に「これ」と話すタイプのドラマではないんでしょう。

川端は付き合っている彼女の理不尽な行動に困ってはいるけど、怒りを持てないことに悩んでいた。怒りのトレーニングをして彼女と対峙したときに、予想以上に感情を出してしまったというエピソードを披露。
察するに、そこで怒りの調節が難しいと感じたから、救済を求めて穴に入る決意をしたのではないかと。

で、川端の穴に入った直後の話も描かれると思ったら……。

結局、穴の中はどうなっているのかわからない!

戸惑うポイントが多くて、見終わっても頭の中にはてなマークばかり浮かぶ物語でした。
最後まで見届けたら穴の中が描かれるのかな? それとも8人の人生の回顧録で終わりなのか……?

菅谷(染谷将太)の初恋エピソードは本当? (2話)

あらすじ

川端(中川大志)の次に穴に早く入る予定の菅谷が話し始める。それは小学生の頃に通っていた空手道場で出会った初恋相手・毛利とのエピソード。

合宿で知り合って以来、道場では会うことはなく、すっかり忘れていた大学生の頃。留学先のホームパーティで毛利と再会。友達以上恋人未満な関係だったが、菅谷の帰国でまた疎遠に。再会したのは数年後のエジプトの空港。そのときは毛利に婚約者がいたから連絡先だけ交換してすぐに別れた。

今度会ったのは、毛利が日本に帰ったと連絡をもらったとき。昔話をしつつ、お互い気持ちがあったことをなんとなく告白するけれど……。

レビュー

菅谷が披露した毛利とのエピソードの結末はお互いに気持ちがあったと伝え合ったものの、毛利は去年結婚したとつれない返事。一方の菅谷は婚約者と別れたばかりと言ったけれど、実際は結婚間近だった。
そして穴に入る前には、すでにその女性と結婚していて、子供もいた。しかしその子は命が短いと宣告を受けていた。そうやって生まれてきたのは自分にパートナーがいたのに、毛利にも気があったから。バチが当たったんだと菅谷は吐露する。
だからなんとなく救いを求めて穴に入るのかな? と思わせる展開。

でも菅谷のその後の話を聞いたら、何が本当だったのかわからなくなった。

子供の話で悲壮感を漂わせていたけど、余命の話自体が嘘だったのかもしれない。
毛利とはお互い気が合ったのに別々の道を歩いたとみんなには話していたけれど、もしかしたら本当はその先に何かあったのかもしれない。
毛利とは偶然の再会を果たす稀有な関係だったから余計恋心が増した雰囲気を出してたけど、もしかしたら毛利とのエピソード自体が創作だったのかもしれない。
だから空手道場で毛利と出会った話も、菅谷の妄想話だったのかもしれない。

そんなことがグルグル頭の中を巡るような2話だった。

話の構成は相変わらずアニメで説明する部分もあれば、実写のシーンも。そして回想は舞台だった。

印象的だったのは夜のタクシーのシーン。
回想だったからもちろん舞台上。だけど、車窓の景色がスクリーンに表示されるのが幻想的だった。
静止画が表示されるのではなくて動画だったから、なおさら夜の街を走っている雰囲気が増していた。
この演出があったからこそ、菅谷と毛利がお互いの想いを伝えたくなったことに納得感があった。

しかし、穴に入りたいグループのリーダー・小澤(堤真一)はナレーションベースでは登場したけど、実物が出てくるシーンはナシ。
ますます不思議なドラマだな……。

2人の原幸恵にまた会うために病気の救いを求めて穴に入る?(3話)

あらすじ

3番目に早く穴に入る松岡(上白石萌歌)が語ることに。

静かなところに勤めたいと思って選んだオルゴール記念館に勤めていた彼女。

本当に驚くほど人が来なかったが、ある日、演劇鑑賞の予約で原幸恵という人に出会う。

その数日後にまた同じ人から演劇の予約が入っていると思って当日受け付けると、同姓同名の別人だった。
思わずその人に、別の原幸恵がいることを話してしまうと、彼女はたびたびオルゴール記念館に通ってくれるようになる。

その原幸恵と仲良くなった松岡が勧めたおかげで、彼女と最初に来た原幸恵がSNSで繋がった。
それでわかったのは、あの演劇鑑賞後、ドイツに住んでいたこと。

そして時は流れ、松岡が記念館を辞めて別の職場にいたとき、ドイツの原が日本に一時帰国し、原幸恵と会うことになった。松岡も誘われ、2人の原幸恵が対面。3人で感激し合う。

ドイツの原が次に日本へ戻るのは3人が別れた日から4年後。また会うことを約束していたが、松岡に病気が見つかってしまう。

小澤(堤真一)に相談すると、穴で再会できるかもしれないとのこと。
それで、穴に入る決意をするのだが……。

レビュー

よほど原幸恵たちとの交流が楽しかったのか、再会を楽しみにしている松岡。それなのに病気になってしまったから、救済を求めるために穴に入るのかもしれない。

松岡より前に入る2人の穴に入る理由らしきものが、怒りという感情への救い、恋心への救い(これは嘘か本当かわからないけど)だった。でも今回はわかりやすい病気への救い。

小澤は穴の向こうで原幸恵たちに会えるかもしれないから、(穴に入ったほうがいいという意味で)大丈夫と彼女の背中を押す。

そのシーンはなんてことない自然な感じに見えた一コマだったんだけど、なんか不気味で。
向こうで会えるなんて、まるであの世で会えるみたいな言い方じゃないかとふと思った。

ひょっとして、穴はこの世を表した比喩的な存在だったりして……?

毒母からの救いを求めて穴に入りたい?(4話)

あらすじ

4番目に早く穴に入る予定の青山(森田想)が語る。

イギリスで生まれ、小学校に上がるタイミングで日本に戻るまで英語しか使ったことがなかったので、小学生の頃は言葉がわからずずっと浮いていた。

そんな彼女を見かねて母がバレエ教室に通わせてくれた。ここでもこれといった友達はできなかった。

しかし日本語がわかるようになってきた中学時代からは、なんとなく仲がいい人もでき、バレエに入った当初よりも踊りたい気持ちが強くなっていた。

ある日、人気のバレエ公演のチケットが余ったから譲れる人を探しているというバレエ教室の生徒の話を聞く。青山は行ってみたいと思って母に相談するが、それは才能のある人に譲れと言い、そろそろバレエの辞めどきだと説得してくる。

仕方なく、バレエ教室の先生に辞めることを伝えることになったが、未練があることを見抜かれてしまう。

そして先生の好意で母には内緒で続けることになった。

最終的に先生から発表会で役をもらえることに。その姿を母に見てもらいたくて、こっそりバレエを続けていたことを打ち明けると、激昂され……。

レビュー

青山の母が自分の都合で娘の人生を振り回すタイプで。イギリスで生まれたのも日本に帰ってきたのも、バレエを習わせたのも、バレエを辞めさせたのもそう。

しかもこっそりバレエを習っていたことを打ち明けたら、先生に説教(という名の自分の一方的な主張)をするくらいの毒母。

だから青山の場合、穴に入るのは母からの救いを求めてのことなのかもしれない。

ところで、青山を演じていた森田想さん。

小学生のシーンで、言葉がわからなくて困った表情や子供同士の不思議な遊びで楽しんでる笑顔、バレエを辞めなくてはいけなくて泣くシーンとか。どの演技も秀逸で。

ちなみに森田さんを認識したのが遅くて『ブラックガールズトーク』でゲスト出演したときでした。人のものをほしがる主人公の会社の同僚役。なんでも羨ましがるんだけど、その小悪魔的な役がうまくて。

今回も青山に憑依していた姿に、引き込まれてしまった。

作品概要

タイトル:『滅相も無い』
放送日:2024年4月16日〜
放送時間:24:59〜(MBS)、25:28〜(TBS)
放送局:MBS、TBS
キャスト:中川大志、染谷将太、上白石萌歌、森田想、古舘寛治、平原テツ、中嶋朋子、窪田正孝、堤真一
監督・脚本:加藤拓也
主題歌:クリープハイプ「喉仏
動画配信:Netflixで見る
公式サイト:https://www.mbs.jp/messoumonai/

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