2024年6月28日から金曜22:00よりTBSで放送しているドラマ『笑うマトリョーシカ』。
早見和真の小説が原作。主人公の新聞記者を水川あさみ。彼女が追う政治家を櫻井翔、彼の秘書を玉山鉄二が演じるミステリドラマ。
この作品のあらすじ・レビューを書いた記事です。
主人公の父が事故死。その裏に操られた政治家と秘書がいる? 1話
あらすじ
新聞の文芸部の記者である道上香苗(水川あさみ)。
新しい内閣に43歳にして入閣した若手議員・清家一郎(櫻井翔)が最近出版した話題の自叙伝の取材で、彼の故郷・松山まで来ていた。
清家の母校である福音学園で当時彼の担任だった学園長(東根作寿英)に話を聞くと、現在後援会長をやっている佐々木光一(渡辺大)とは当時からの仲だと言う。
そして、見せてもらった在学中の写真に佐々木と清家とともに写っている人物がいた。
それが現在清家の秘書をしている鈴木俊哉(玉山鉄二)だった。
しかも清家が生徒会長に選ばれたのは利発だった鈴木の献身的なサポートがあったからだという。
しかし、清家の著書には鈴木のことが一切書かれていないことを香苗は不思議に思う。
その矢先に香苗の父でかつて敏腕記者だった道上兼高(渡辺いっけい)から珍しく連絡が入った。
しかし、その電話口で事故に遭い亡くなってしまう。
父の遺留品を調べると、28年前に自身がスクープしたBG株事件(不動産の利権が絡んだ贈収賄事件)を再び追っていたようだった。
BG株事件では結局官僚以外で起訴されたのは不動産会社社長の宇野耕介のみ。
兼高は黒幕に政治家がいるはずと追っていたものの、結局宇野の自殺で幕を閉じた。
しかし、それについて再び取材を進めていたらしい。
関与していると思われる現職の総理大臣などの名前をピックアップしているノートも見つかる。
しかもそこには宇野の息子が鈴木であることも記載されていた。
そして、兼高は事故当日、鈴木と会うことになっていたというメモも。
清家と鈴木の関係性を調べれば、なぜ父が死ぬことになったのかその原因がわかるかもしれない。
そうと思った香苗は、清家の著書取材を突破口に彼らへ近づいていくが……。
レビュー
香苗の清家への感想が「AIみたい」と言うように、公の場で会う彼は中身が何もないように見える。
それを裏付けるように、清家の公務の取材には必ず鈴木が作った台本があって、アドリブっぽい一言も間も強弱も全部彼の指示通りしゃべるのだ。
一方、鈴木はかつての汚職事件で逮捕された人物の息子。
事件には黒幕として政治家がいると言われているから、政治家を嫌っているはずなのに、なぜか清家の秘書をやっている。
そのことを香苗に突っ込まれると、清家の才能に惚れ込んでいるからと答える鈴木。
でも一方で、高校時代の鈴木(西山潤)は、清家(青木柚)を利用して父親の敵を取ってやると回想するシーンが。
そうかと思えば、清家が大学時代に書いたヒトラーと彼のブレーン・ハヌッセンの政治思想を称賛している論文が香苗のもとに送られてくる。
おそらく清家自身が送ってきたもの。
これを見て香苗は、鈴木に書かされたのではないかと推理。
しかも、その論文が送られて来る前に清家と直々に1対1で会食した最後に「僕を見ていてくださいね」と彼から囁かれた香苗。
そこから彼女が予想したのは、清家は鈴木に操られていて、それに勘づいた清家は逃げ出したいんじゃないか。
それを香苗に手助けしてほしいんじゃないかということ。
香苗だけでなく、1話のストーリーを追うだけだと見ているこちら側もそう思ってしまう。
ただ、空っぽのように見える清家を操って、入閣させるほど押し上げた黒幕が鈴木。そして彼の罠で香苗の父も殺された……。
という結論がつくなんて、そんな単純な話だったら連続ドラマにする必要がない。
きっとこれからいろいろと翻弄されるんだろうな。
政治家・清家を操る黒幕は秘書・鈴木以外の人物? 2話
あらすじ
父・道上兼髙(渡辺いっけい)の事故死と彼が追っていたBG株事件について調べはじめた途端、道上香苗(水川あさみ)の部屋に空き巣が入る。
そして、父の遺留品であったBG株事件について書かれたノートがすべて盗られてしまった。
以前、社会部にいたときに自分の取材で議員秘書を自殺未遂に追い込んでしまった香苗。
そのせいで自分の身元がSNSで割れ、息子の勇気が動画配信者に追いかけられるなど家族にも影響が。
仕事となるとまわりが見えなくなる彼女に我慢できなくなり、夫の旗手(和田正人)とは離婚。
現在は実家に戻り、息子とも別々に暮らしている。
父のノートが盗られたことで、あの頃のように自分が再び事件にのめり込んだことに嫌気が差す香苗。
しかしできすぎている父の死の原因を追及するために議員の清家一郎(櫻井翔)と彼の秘書・鈴木俊哉(玉山鉄二)を追う決意をする。
気になったのは、彼の母校の先輩でもあり地元愛媛出身の議員・武智和宏(小木茂光)との接点。
清家の自伝的著書「悲願」によると、佐々木光一(渡辺大)の実家の料亭で彼の紹介で知り合っている。
それから清家は武智の私設秘書をやっていたが、武智が交通事故で亡くなる。
そして、その補欠選挙で清家が27歳の若さで当選したことで政治家としての一歩を踏み出したのだ。
しかし香苗が地元で調べると、清家だけではなく鈴木も武智の私設秘書だったことがわかる。
しかも、武智は父と同じく運転手の居眠り運転での事故死。
清家を政治家にするために、武智の事故も鈴木が仕組んだことでは……。
疑惑が深まり、清家にも直接、武智の死、道上兼高の死の不審さをぶつけた矢先、鈴木が交通事故に遭い入院してしまう。
疑っていた鈴木が怪我を負い、振り出しに戻った香苗は「悲願」を読み直す。
そこで元恋人・美恵子(田辺桃子)とのエピソードだけ文体の違和感を覚え、これだけは誰の手も入っていない清家本人が書いたものなのではないかと感じる。
それによると、大学3年生のときに映画館で美恵子から声をかけられたことがきっかけで知り合った。
脚本家志望で上京した同い年の大学生。
著名なアーティストが27歳で死んでいる。だから21歳とはいえのんびり生きていられないと清家に力説した聡明な女性。
そして香苗は「悲願」での美恵子の章と同じ文体で書かれた、大学時代の清家の論文を見た指導教授に話を聞くことにする。
すると、香苗に送られてきたヒットラーとハヌッセンを称賛する論文は大学3年生のときのもので、卒業論文は同じテーマではあるけど一転してハヌッセンを批判しているという。
一方、鈴木も武智の法事のハガキが届いたときから過去を振り返っていた。
清家と武智を引き合わせたのは、自分であったこと。
そして、事故で入院中に思い出していたのは美恵子。
喫茶店で清家から彼女だと紹介された美恵子はタバコを吸い、鈴木を清家のハヌッセンと言い睨みつけるタイプだった。
しかも、知り合ったきっかけを聞くと雑誌の恋人募集のコーナーという。
そしてふとハヌッセンの生涯を調べると、43歳で暗殺されたとある。
現在、鈴木は43歳。そして轢いた車は明らかに自分を狙っていたことを思い出し……。
レビュー
1話で、すべての黒幕は鈴木ではないかと思わせておいて、その鈴木が事故に遭ってしまうなんて……。
で、香苗は黒幕と思われる相手を今度は美恵子だと考えて、これまでの出来事を整理するんだけど。
そんなに単純なのかな?
今回気になったのは、清家の著書「悲願」での記述と、鈴木から見た出来事に違う部分があったこと。
武智との出会いは、著書に鈴木のことを入れられないから、佐々木の料亭で彼の紹介で会ったことにしているのはわかるとして、不気味なのは美恵子との出会いのところ。
著書では映画館と体よく言っているけど、鈴木いわく、雑誌の恋人募集コーナー。
しかも、清家目線だと頭はいいけどもっと純情そうなのに、鈴木目線だとタバコを吸って生意気そうなタイプ。
清家を尻に敷いているような感じと、清家の担当教授も言っていたから鈴木の印象のほうが美恵子の本当の人物像に近いのだろう。
あと佐々木の店で香苗と清家が会っているときに、陰でこっそり佐々木が連絡を取っている謎の女(高岡早紀)が気になる。
美恵子の話を聞いちゃうと彼女が美恵子っぽいけど。でも清家の母じゃないかな……?と感じているけど、真相はどうなのか。
ただ、この謎の女がとても怪しい。
でも、ハヌッセンに見立てられている鈴木が43歳にして狙われているから、案外いろいろ仕掛けているのは清家本人だったりして。
政治家・清家を操ってる? 元恋人の正体は? 3話
あらすじ
突然、清家一郎(櫻井翔)から今後の取材を一切拒否されてしまった道上香苗(水川あさみ)。
そのため、気になっていた清家の元恋人・美恵子(田辺桃子)について彼本人から聞くことはできなくなった。
そこで清家の大学時代の同級生に聞いてみると、著書で仮名だった美恵子は三好美和子と言って、一時期大学でも清家とよく一緒にいたらしい。
そして彼女がシナリオコンクールに応募していたことがわかる。しかも清家をモデルにした内容でタイトルは『最後に笑うマトリョーシカ』。
そして先輩記者の山中尊志(丸山智己)から清家がかつて私設秘書をしていた故・武智和宏(小木茂光)の元政策担当秘書・藤田則永(国広富之)の存在を教えてもらう。
彼なら美和子について何か知っているかもしれないと、彼がいる介護施設を訪ねる。
だが政治の世界から身を引いて以来、そういった取材を一切断っているとこの日は断られてしまう。
しかし息子の勇気と会う日に、この施設が開催している折り紙教室のイベントに参加。そのときに、なんとか藤田と話すことができた香苗。
清家は秘書の鈴木俊哉(玉山鉄二)に操られているのではと問うと、清家は父・和田島(加藤雅也)に似て、本心を見せないところがあるからそんなはずはないと言われる。
美和子のことを聞くと、会ったことがあるとのこと。
27歳で清家を政治家にさせると言い切り、自信家なところがあった。鈴木に別れさせたほうがいいと伝え、それ以来会っていないという。
でもその27歳に武智が事故で亡くなり、清家は彼の地盤を引き継いでいる。
ただ当時、武智はすでに清家に地盤を譲る準備をしていて、何もなくても29歳には清家は政治家になれたと語る。
だから、あの時点で武智を死なせる必要がなかった。
とはいえ、事故に遭う直前、武智には愛人がいた。それが誰だかはわからないと藤田は言う。
香苗は、もしかしたらその相手が美和子で清家を政治家にさせるために、武智を事故に遭わせたのではないかと疑う。
美和子の人物像は見えてきたが、直接彼女にコンタクトを取ることができない。
シナリオコンクールに送った原稿にある住所を入手すれば彼女が見つかるかもしれない。
そのために入院中の鈴木に頼み込む香苗。
彼がテレビ局に声をかければ渡してくれるはずだから取り持ってほしいと説得するが……。
一方、鈴木は入院中、清家の著書『悲願』にある美和子のエピソードを読み返していた。
そして清家に紹介され、美和子と初めて会ったときに、清家と彼の父の話を脚本にすると息巻いていた姿を思い出した。
そして、清家を27歳で政治家にすると言い切った美和子。
どんどん彼女に染まっていく姿を見ていられず、清家から離れてほしいと美和子に頼んだ。
しかし、あんなに自分色に染められる人を手放せるわけがないと啖呵を切られた思い出が蘇る。
そんなことを考えていたときに、香苗からシナリオコンクールの原稿を取り寄せてほしいと頼まれる。
最初は断るが、香苗と同様にもしかしたら自分の事故は美和子のせいかもしれないと思った鈴木は……。
レビュー
香苗から見た清家の話がメインで進むけど、いつの間にか鈴木の視点から見た清家の話も混じってきて約1時間のストーリーなのに情報量が多い……。
しかも香苗と鈴木の視点で見た清家の人物像は異なるし、彼を取り巻く人物から見た清家像もそれとは異なるから、結構混乱する。
今回印象深かったのは、香苗が取材を受けられなくなったことを清家に直接聞くシーン。
「今後連絡を取らないようにします、あなたのために」と言われた挙げ句、再び「僕を見ていてください」というセリフ。
ということは、彼は自身を操る誰かの存在を知っていて、それに迫ろうとする香苗の身が危ないと感じている。だから、そういうことを言っているのではと思ったのだけど。
鈴木や美和子が考える清家像を追うと、純粋で人の意見に左右されやすい人物という印象。
でも藤田によれば、何を考えているかわからない、心がないように見えるとも言われていた。
そして頭もよく清家をリードしているように見える鈴木のことさえも何とも思っていないような、政治家としての天賦の才能を持っているという評価。
ただ、そう言っている藤田を政界に進んだタイミングで清家は切っている。
それは誰かの差し金なのか、清家本人の決断なのかわからない。
そして、タイトルの『笑うマトリョーシカ』が美和子のシナリオのタイトルから来ていたことがわかった。
彼女いわく、誰が清家の芯の部分で大笑いしていられるかという意味らしい。
そうやって誰かが清家を操っているように見えるけど案外、清家本人がそうやって空っぽな演技をしている策士なのでは?
そして清家を操っていると思っている人物から香苗を守るためにあえて突き放しているように見える。
ということは、マトリョーシカの芯で大笑いしているのは、結局本人でしかなかったりして。
清家の様子を気にしている謎の女の正体とは? 4話
あらすじ
三好美和子(田辺桃子)がかつて応募したシナリオを手に入れた道上香苗(水川あさみ)。
内容は、清家一郎(櫻井翔)と鈴木俊哉(玉山鉄二)をモデルにした話。
若手議員を秘書が操っていたが次第に議員の妻のほうが実権を握るようになっていき、ハヌッセンと同じ43歳に秘書が命を落とす物語。
ただ唐突に議員の母が出てきて彼を慰めるシーンでラストを迎えている。
香苗は母に引っかかるものの、ひとまず美和子を探そうとする。
しかし上司からこれ以上取材を進めると、手伝ってくれた人も含めて全員のクビが飛ぶとストップをかけられてしまう。
それでも父の死の真相を知りたいと思った香苗は、会社を辞め、フリーのジャーナリストとして取材を続けることを決意。
シナリオに書かれた美和子の住所を訪ねると、彼女の母がいた。
母いわく、捜索願を出してはいるものの20年以上、美和子は行方不明。
そして本名は、シナリオの氏名にもあった通り、真中亜里沙だった。
なぜか小・中学校で亜里沙をいじめていた同級生の名を名乗っていたらしい。
そして亜里沙の行方をつかもうと、彼女を知っている者に連絡を取るも誰もどこにいるかわからないと言う。
亜里沙の調査が手づまりになったため、今度はシナリオで突然登場した清家の母を探すことに。
まずは鈴木に聞いてみるものの、大学4年以来会っていないと言う。
ただ母の名が浩子ということだけ教えてもらう。
そこで、清家の地元・愛媛で同級生にあたってみると、高校のときに見かけたことがあるという。
しかも、清家が今まで見せたことのないような笑顔で母と接していて、すごく美人だったと。
清家の実家に向かうと、今は誰も住んでいなかった。
近所の人に聞くと、10年くらい前まで浩子ひとりで住んでいたとのこと。
もともと、その家の持ち主が60歳過ぎて、東京から連れて帰ってきた結婚相手だったのが浩子。
しかもそのときには元官房長官・和田島(加藤雅也)との子である清家をみごもっていたらしい。
写真を見せてもらうと、香苗が驚いたのは先日実家の居酒屋に現れた女(高岡早紀)だった……。
しかもその浩子と結婚してから、2、3年後に家の持ち主であった結婚相手は交通事故で亡くなっている。
香苗の父、清家が私設秘書をしていた武智(小木茂光)、鈴木、そして紘子の結婚相手。
みんな交通事故に遭っているが、これは偶然なのだろうかと不審に思う香苗。
一方、鈴木は香苗から浩子のことを聞かれ、過去にあった彼女との出来事を思い出していた。
初めて浩子を見たときは目を奪われるほどの美人だと思った。
それから清家が亜里沙と付き合いはじめた大学のときに、彼の家に浩子から呼び出された。
彼女いわく、心配で上京し、清家の家で暮らすことにしたとのこと。
ただ亜里沙が家に居ついていて、我が物顔で部屋を散らかし、昼頃に起き、浩子が用意するご飯も図々しく食べているらしい。
彼女の印象を聞かれ、いい思いを抱いていないと正直に答えると、浩子から清家と別れさせてほしいと頼まれる。
亜里沙と付き合いはじめてから清家とは疎遠になりつつあったが、浩子からの品はあるのになぜか逆らえそうもない圧を鈴木は感じ……。
レビュー
時折謎の女として登場していた高岡早紀。
亜里沙が大人になった姿ってことはないだろうなと思っていたら、やっぱり清家の母・浩子だった。
そして料亭を営む清家の同級生・佐々木(渡辺大)が逐一清家の様子を浩子に報告してるのだけど、いまだに清家に悪い虫がつかないように、無事政治家として成功するように見張っているということ?
ただ、香苗がフリーのジャーナリストになってSNSを開設。コメントをつぶやくと、清家はそれに「いいね」をしているんだよね。
しかも佐々木の料亭でそのSNSをチェックしていたときに、佐々木が接近したら咄嗟に隠したし。
清家は佐々木が浩子に自分の様子を伝えていることに気づいてる?
今回までの話を見ていると、おそらく清家が出世しているのは裏で浩子がうまい具合に人を操ったり、陥れていたりしているからなのかも。
ただそのことも清家は気づいていて、鈴木や佐々木はあえて泳がせ、香苗のことは守ろうとしているとか?
そしてまた謎の女(真飛聖)が登場。
ひょっとしてこれが亜里沙? それとも本物の三好美和子? それか清家絡みの陰謀に巻き込まれた誰かとか?
それにしても、清家の心情が見えるようで見えない。
香苗が黒幕を暴いたら、清家からの解答編(清家目線であのときどう思っていたのかを描く)がありそうだけど、どうかな?
政治家・清家の母と秘書・鈴木の本当の関係とは? 5話
あらすじ
清家一郎(櫻井翔)の母・浩子(高岡早紀)が彼を操っていると確信した道上香苗(水川あさみ)は、彼らの地元・愛媛で浩子について調査する。
以前も話を聞いた清家の母校の学園長(東根作寿英)に尋ねると、清家の秘書で同級生の鈴木俊哉(玉山鉄二)が、清家が学校の近くに借りていたマンションだけでなく、彼の祖母が亡くなったときに実家にまで行ったことがある仲だとわかった。
ということは、先日香苗が鈴木に聞いたときは浩子にあまり会ったことがない口ぶりをしていたが、よく知っている仲だということだ。
なぜ鈴木が嘘をついたのか引っ掛かる香苗。
彼の家を張り込んでいると、以前鈴木が入院していた病院で見かけた女(真飛聖)が出てきた。
どうやら鈴木の妻だったようだ。
どういう人物か知るために道上はあとをつけると、彼女は東日本新聞の子会社に勤めていて、思い返すと以前記者仲間との懇親会で会ったことがある人だった。
そして彼女の会社の場所と、以前清家の学生時代の論文を送ってきた消印が同じことで、あの論文は鈴木の妻である彼女が送ってきたものだと推察。
鈴木の妻・由紀に確かめると、論文を送ったのは自分だと告白。
もともとそれは鈴木宛に匿名で送られてきたものだった。
由紀いわく、清家とは何度か会ったことがあるが何か違和感があった。だが政権寄りの東日本新聞では調べられない。
そこで以前会ったときに信念を持って取材する香苗なら調べてくれるのではないかと思い、鈴木には黙って託したと。
ちなみに鈴木宛に送られてきたときは消印が清家の故郷だった。
だから、清家の裏に自分がいることをアピールするために浩子が送りつけたのではないのかと類推する2人。
一方鈴木は、官房長官のスキャンダルを記者に売り込み失脚させ、そのポストに清家を入れようと画策していた。
作戦は成功し、清家を官房長官にという声が高まる。
そんな中、由紀と結託した香苗に浩子をよく知っているようなのにどうして嘘をついたのかと問い詰められる。
そう言われて昔を思い出す。
浩子の美しさに学生当時は目を奪われていたが、その彼女の誘惑に負け、まんまと自分も操られていた。
かつて清家と真中亜里沙(田辺桃子)が付き合っていた頃、浩子に逆らえず、清家と別れるように亜里沙に懇願した。
そして彼女からは「絶対に別れない」と断言された。
しかしその後、清家から鈴木が別れろと言ったせいで亜里沙と連絡が取れなくなったと、絶交寸前まで責められたことがあった。
不思議に思って亜里沙の家に行くと、部屋の鍵が開いていた。
中に入るとお弁当は食べかけで、ほかにも中のものが散らかったまま誰もいない。
浩子に報告すると、別れられたのならよかったと言いながら、どこかその事情を知っているような顔をしていた。
だから鈴木は亜里沙が行方不明なのは浩子のせいだと勘づいた。
それ以来、距離を置いているはずが、由紀が香苗に送った論文の話を聞き動揺する。
香苗は、このまま浩子に操られた状態で清家を官房長官にさせるのは国政上においてもいいはずがないから、手を組まないかと鈴木に提案するが……。
レビュー
先週から突如登場した謎の女があっさり鈴木の妻だとわかった。
敵だったら……と思ったら味方。
清家の論文は由紀が送ったものだということもわかったのだけど、てっきり本人が送ったもののまま話が進むと思っていたからちょっと肩透かし。
別に匿名で香苗に送りつけなくてもよかったのにと思ったのだけど、それだと調べてくれないかもしれないと考えたってこと?
それにしてもその論文を鈴木に送ったもともとの送り主は何を意図していたのか。
清家にはハヌッセンのような存在がいるけど、それは鈴木ではないと主張したいからではと由紀は言っていた。
けど、それなら43歳に死んだハヌッセンと辻褄が合わない気がするけど、ハヌッセン気取りの鈴木が43歳で死ぬという暗示をさせる意味では効果的だったのかも。
あと清家が差別をなくそう、とりわけ外国人差別について進行中の政策の中に、何の脈絡もなく唐突に取り入れるシーンが気になった。
香苗が調べると、鈴木と出会う前、小学生の頃から差別をなくしたいと言っているという。
ということは、それが清家や母の出自と関わっているということ?
そういえば、高校の時に亡くなった祖母が苦労した人と言っているシーンがあったし、祖母や母が差別にあって大変な思いをしていたということなのかも。
それなら、差別をなくすためにどんな手段を使ってでも清家に権力を持ってほしいと浩子が強く願っていて、彼を操っている……というのはわからなくない。
ただそんな中でも清家は香苗のことを気にして彼女のSNSをこまめにチェックしている。
以前会ったときも、どこか助けてほしいような目線を香苗に送っている。
母に操られているのをわかっていて、それを振り解くために自身は出世を目指し、その途端、母を裏切るのでは?
なんて思っているけど、結末はどうなることやら。
清家が官房長官になった代わりに切り捨てたものとは? 6話
あらすじ
清家一郎(櫻井翔)は、高校からの親友で秘書である鈴木俊哉(玉山鉄二)の戦略もあり、念願叶って官房長官のポジションに就こうとしていた。
しかし、清家の裏で母・浩子(高岡早紀)が操っていると思っている記者の道上香苗(水川あさみ)は、なんとか浩子と清家の繋がりを絶てないものかと考えていた。
というのも、浩子はヒトラーと側近・ハヌッセンの考え方を支持する思想の持ち主で、自分の目的を達成するために人を殺すことをいとわない人間だから。
そんな彼女が清家を操っているとしたら、官房長官を任せるのは危険と判断している香苗。
それだけでなく、彼女は自分の父を死に追いやったBG株事件の真相に迫りたいという目論見もあった。
この事件の首謀者と目され、逮捕されたのが鈴木の実の父・宇野。しかし香苗の父が遺したノートから考えると、現職の総理大臣などBG株事件に深く関わった政治家がいる。
浩子のこと、そしてBG株事件の黒幕を暴くために、鈴木と手を組みたいと香苗は思っていた。
しかし鈴木は高校からずっと清家に頼られてきたし、彼を出世させた自負もあり、そう簡単に香苗のことを信じられない。
そして高校の生徒会長選挙、愛媛での初選挙を経て、ついに清家が官房長官にまで上りつめた。
父のことがあり、自分が政治家になれない代わりに、清家を利用し政界に関わってきた鈴木。ここまで清家を持ち上げた自分の手腕を誇りに感じていた。
その矢先、清家は官房長官就任後の記者会見で鈴木が作った台本にアドリブを加えた。それは、在留外国人へのヘイトスピーチをやめさせたり、彼らのような弱者を支えたいという自分の思いだった。
そしてその頃、香苗は在留外国人支援機構に浩子が高額の寄付をしていた情報をつかむ。
しかも彼女が機構を訪ね、外国人へのヘイトスピーチをやめるよう政府から呼び掛けてほしいなど、清家の記者会見での話とほぼ同じことを語っていたことを知る。
そのことを鈴木に伝える香苗。
そしててっきり清家が信頼を寄せる相手は自分だけだと思い込んでいたが、いまだに彼と浩子が繋がっていることを思い知る鈴木。
すると、鈴木がBG事件で逮捕された宇野の息子だという暴露記事が週刊誌に掲載され……。
レビュー
週刊誌に鈴木の記事が載ったくらいで清家と彼の関係が悪くはならないと思いきや……。
鈴木を清家が手放そうとするシーンでは、政界に進んだときに封印した「俊哉くん」呼びをして昔話を語る清家が怖かった。
そして誰とは言わないけど、仲良くしていたのは「そう言われたから」と言い、遠い目をするんだよね。
でも、途中で友情は本物だったと語る。表情はそのままだけれどすーっと涙がこぼれていたから、これは清家の本音だったんだろうな。
この“言わされている”感と素の言葉が混ざった鈴木へのクビ宣告。
でも、なんでこんなまどろっこしいことしているんだろうと思ったのだけど、清家の議員事務室にある部屋に似つかわしくないマトリョーシカが怪しい。
これに盗聴器とか盗撮カメラのようなのが仕掛けられていて、浩子と通じているのでは?
1話でBG株事件のノートの存在をこの事務室で香苗がほのめかしたあと、それが盗まれた。
もし浩子が知って誰かに盗むよう指示を出していたとしたら、ノートの情報を知ったきっかけって?
もしそれがこのマトリョーシカであれば辻褄が合う。
やっぱり清家は監視されているのを意識しているからあんな風な言い方で鈴木を切ったのでは?
ということはやっぱり母の支配に勘づいている?
不審な数々の事故死、清家の彼女の失踪、BG株事件、すべてに関わる人物が発覚!? 7話
あらすじ
清家一郎(櫻井翔)の高校からの友人で秘書であった鈴木俊哉(玉山鉄二)は、彼がBG株事件で逮捕された宇野の息子であるという暴露記事をきっかけに清家から切られてしまう。
今まで清家を政治家のトップにすることを自分の使命としていた鈴木は落胆し、引きこもっていた。
そこへ記者の道上香苗(水川あさみ)が、自身の父・兼髙(渡辺いっけい)が殺されるまで真相を調べていたBG株事件の資料を彼へ託す。
当初は無視していた鈴木。しかし妻に誘われ、事件をきっかけに自死した父・宇野の命日に墓参りへ行くことに。
そこで住職から、命日には毎年兼髙がお参りに来ていたことを知る。
それをきっかけに、香苗から託されたBG株事件の資料をもとに鈴木が事件の真相を探ると、現職の外務大臣・諸橋育生(矢島健一)の秘書・中島がBG株事件の1年後に自殺している記事を発見する。
それを香苗に報告すると、早速、中島の妻の元へ向かう。兼髙が生前取材していた甲斐があり、すぐに話を聞けることに。
すると、BG株事件に政治家が関わっていた証拠を中島が握っていたことを知る。
そして中島の遺品の中から、清家と鈴木の母校である福音学園の住所と「鈴木」の名を記したメモを見つける。
どうやら鈴木が在学中に彼宛に証拠を送ったらしい。しかし彼は受け取った記憶がない。
香苗はすぐに愛媛に飛び、今は学園長をしている一色(東根作寿英)に鈴木宛に届け物がなかったか聞くと知らないと言われてしまう。
しかし同じ頃、鈴木は清家の生徒会長選挙の際に、当時生徒会顧問をしていた一色が過去の演説内容を見せてくれたり、演説の順番に便宜を図ったり、どうも清家を当選するよう導いていたことに気づく。そしてその時期に一色が清家の母・浩子(高岡早紀)と会っている姿を目撃したことを思い出す。
そのことを香苗に伝えて、再び一色に問いただすと、テープが届いていたがある人に渡してしまったと言われ……。
レビュー
香苗の父・兼髙、清家が私設秘書をしていた武智、浩子の元夫で清家の義理の父・清家嘉和。この3人の不審な事故死。清家の学生時代の彼女・亜里沙の失踪。そしてBG株事件までも浩子との接点が見つかってしまった。
そして兼髙がBG株事件に関わっていた政治家としてリストアップされていた諸橋。これまでは影が薄かったけれど、どうも彼も浩子と繋がってるみたいで、これから存在感が増しそう。
でもそこまでして息子の清家を出世させたい浩子の目的とは?
実は外国籍で、清家を利用してこれまで虐げられてきた復讐を果たそうとしているのでは?
ただ香苗が清家に鈴木を切った理由を聞いたときに、「切りたくて切ったわけじゃない」と答えている。
ということは浩子の指示があって鈴木を切った?
だとしたら母の手前、切ったのだろうけど、清家はこのまま母の言いなりなんだろうか。
それとも、母の陰謀を断ち切るような秘策を考えているとか?
政治家・清家(櫻井翔)を操る母(高岡早紀)のルーツとは? 8話
あらすじ
BG株事件で政治家が関与していた証拠となるテープのありかを追い、愛媛に来た道上香苗(水川あさみ)。
誰が持っていたかがわかった矢先、香苗は何者かに追われ車に轢かれそうになる。
間一髪のところで、清家一郎(櫻井翔)の母・浩子(高岡早紀)と遭遇する。
ずっと清家を操り、トップ政治家へと出世させるために数々の人を事故死へ導いたというかねてからの疑問。香苗はそれを浩子にぶつけてみるが、はぐらかされてしまう。
しかし話をしているうちに浩子が再婚していたことがわかる。
あとをつけてみると、相手は年老いた医師で、大きな屋敷に住んでいた。
すると、新聞社時代の後輩・青山(曽田陵介)から情報が入り、清家が松山にいるという。
さっそく香苗は、清家の高校の同級生で彼の後援会会長でもある佐々木(渡辺大)の料亭へ向かうもすでに清家の姿はなかった。
その代わり「無茶をしないように」というメッセージが書かれた手紙を受け取る。
翌日、清家が地元で講演を行うと言っていた会場へ向かうと、支援者たちから罵声を浴びせられる香苗。
清家が来たおかげで事なきを得たが、彼から「『無茶をしないように』と言ったのに」と再び忠告されてしまう。
香苗が東京へ戻ると、新聞社時代の先輩で今は自分のボスである山中(丸山智己)の聞き込みで、浩子がかつて劉浩子と名乗っていたことがわかる。
それでみんなが気づいたのは以前、清家の彼女だった真中亜里沙(田辺桃子)がシナリオコンクールへ応募したときのペンネームが劉麗蘭だったこと。
亜里沙が当時嫌いだった人物の名をペンネームにしていたと仮定すると、もしかしたら浩子の本名は劉麗蘭だったのではないかと推察する。
そして、香苗は愛媛出張の際に清家の義父が亡くなったときの情報を調べ、当時、御徒町の親戚のところに浩子が行っていたことを突き止める。
浩子のルーツが推察通りなのか調べるため、香苗は御徒町で長年営業しているお店に取材を進める。
すると、ある店では浩子と彼女の母らしき人物がかつて常連だったと聞き……。
一方、BG株事件の決定的証拠となるテープがある人物に渡ってしまったことがわかり入手が絶望的になった。
そこで行方不明と言われている諸橋議員(矢島健一)のかつての秘書・富樫の行方を探すのが近道と考えた香苗。
富樫探しを清家の元秘書・鈴木俊哉(玉山鉄二)に手伝ってもらうことにする。
レビュー
今回は香苗が息子と一緒に出かけるシーンがほっこりした。
ここのところ、清家を操っているのは誰なのか、浩子なのか、ならどうしてそんなことを? と緊張感あるシーンの連続だったから。
とはいえ、また香苗が息子といるときに動画配信者に狙われるし、愛媛に行ったときにも清家の支援者から詰められるし。
見ていて不憫だった。
けれど、かつて香苗が追い詰められる原因となった、議員秘書で自殺未遂を起こした柏木。
彼とばったり会ったら、「誰がなんと言おうと、あのことがあってよかった」なんて言われて。
香苗は今までいろんな人に責められてきたけど、ようやく報われた。
これを見ていて、信念を貫くことも大事だなと感じた。
それにしても数話前あたりから香苗が「浩子を見つける」と息巻いていたけど、これまでの取材内容を見ると一筋縄でいく相手ではないだろうから、会ってどうするつもり? 清家を操っていると聞くつもりなの?と気になっていたけど。
本当に真っ向勝負していたから驚いた。
劇中でも言っていたけど、追い込むにはあまりにも持っている切り札が少なすぎるよ……。
でも彼女を追い込んだところで本当に白状するのかな?
それよりも前に清家が母を裏切るかもしれないよね。
そして清家が言っていた「無茶をしないように」の意味も気になる。
作品概要
タイトル:『笑うマトリョーシカ』
放送日:2024年6月28日〜
放送時間:22:00〜22:54
放送局:TBS
出演:水川あさみ、櫻井翔、玉山鉄二、丸山智己、曽田陵介、渡辺大、青木柚、西山潤、田辺桃子、濱尾ノリタカ、渡辺いっけい、筒井真理子、和田正人、咲耶、中山麻聖、加藤雅也、大鷹明良、矢島健一、小木茂光、国広富之、東根作寿英、高岡早紀
原作:早見和真
脚本:いずみ吉紘、神田優
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/waraumatryoshka_tbs/