『初めて恋をした日に読む話』最終回。
このドラマで言いたかったことはきっとこの二つ。
自分が幸せなら(犯罪、他人に迷惑かけること以外なら)どんな道を歩もうがOKということ。
好きは大人とか関係ないということ。
順子(深田恭子)は東大受験の失敗を引きずり、就職、婚活も失敗して、仕方なく契約で塾講師をしていたわけだけど、父に反抗して学力がない中、東大受験を目指す由利(横浜流星)を指導していくうちにようやく過去の傷を乗り越えていく。
自分の中の傷は癒えてきたけど、残っていたのは母とのわだかまり。
自分を東大に受からせるためにずっと懸命になってた母とは、受験に失敗して怒られて以来気まずい関係だった順子。
でも、母としては、自分のことのように真剣になっていたのに、順子は失敗したことをヘラヘラして報告してくるし、夫側の親族が全員東大出身というプレッシャーがあり、我が子も東大に入れることができたらようやく嫁として認めてもらえると思っていたのにその目論見が外れたことにも絶望感があったわけで……。
母自身も背負っていた重荷が大きかったから、順子が結果をヘラヘラして報告したのは、自分以上に繊細になってた母をこれ以上苦しめたくなかったからだったなんて想像することさえできないくらい余裕がなかった。
順子が塾講師として由利に熱心になってる姿を母が見てやっと自分の姿を客観視できた母、由利を教えることでその当時の母の心境を追体験できた順子。
そして交通事故で入院していた順子が帰宅する日。ようやく二人とも素直にあのときの思いを語り合え、ようやく和解。
東大に入れなくても、勉強を教えるという生きがいを見つけた順子が「今幸せだからお母さんの子育ては失敗じゃないよ」と言ったのが何より母の救いだっただろうと思うし、印象的なシーンだった。
順子は大きく道は外れてないけど、今まで歩んできた道は平坦ではなかったし、自分にとっての幸せが何かもずーっとわかってなかったと思う。
それが母との和解の瞬間に、順子自身も納得できた結末になってよかった。
そして由利との関係。
前回、ようやく自分の気持ちに気付いてしまい、交通事故で入院して自分の時間を持てた最中も悩む順子。
雅志のプロポーズは当然振ったけど(笑)、かといって素直に由利に飛び込んでいいかどうかは、自分の年齢や受験という目標に向かって二人三脚でやっていたから単なる由利の一時的な幻想かもしれないと葛藤する。
一方由利は、受験が終わり、晴れて講師と生徒の関係が解けたからようやく順子に自分の気持ちを打ち明けられると思っていた。
それで(途中、由利の幻想を解こうと雅志と結婚するなんて順子が嘘つくから出鼻くじかれたけど)どうにかこうにか順子に告白できた由利。
でも順子は、現実問題、年の差があるし、これから誘惑や楽しい経験がいっぱいある由利の将来を考えると、たとえ付き合ったとして振られたとき、きっと東大に落ちたときよりもショックで立ち直れない、そもそも将来のビジョンが由利自身に見えてないのにそこへ飛び込む自信がないと断ってしまう。
えー。
それで由利と距離ができた間に美和(安達祐実)と雅志の会社の後輩・西大井(浜中文一)との結婚がまとまり、そのパーティに集まったお馴染みのみんなの前で由利を振った理由を話さざるを得ない状況になる順子。
それを聞いて塾長(生瀬勝久)から「普通ですね」と言われたことで目が覚める。
由利と出会った頃、変な大人(常識にとらわれず自分の信念で生きる強い大人)で生きてきたはずだったのに、東大受験のときと一緒でここぞというときに間違えることにやっと気づいた順子はようやく自分の気持ちに従い、由利と向き合うことに決める。
もう、気づくの遅せえよ!
と順子に突っ込んだ視聴者は多かったはず……。
でも最後ハッピーエンドでよかった。
一般的に幸せと言われることが自分の幸せとは限らないし、教えることの楽しさを知って順子が幸せになれてよかった。
そして、大人だからとか関係なく自分の「好き」を貫けてよかった。
現実はそううまくいかないけど、何か迷ったときに背中をポンと押してくれるような作品だったな。
しかし、事故で入院中だった順子が目覚めてすぐ思いついたのが「ユリ・ゲラー」って、由利とかけている割には随分出典古いな!って思ったけど、それもまた恋のドキドキのスパイスになっててよかった。
※ユリ・ゲラー知らない方はこちらを。だから順子は必死にスプーン曲げしてたんだよ。
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