1週分お休みで迎えた『いだてん』14話。
この休みがあったおかげで、四三(中村勘九郎)や三島(生田斗真)、嘉納治五郎(役所広司)たちが帰国して感じた、日本の時代の変化が如実に伝わってきた。
帰国したら元号変わってるし、世の雰囲気も派手なことを嫌い自粛ムード。
あまりのギャップに四三は、オリンピックに行ったことは本当に自分の身に起こったことなのか不安になるほど。
そんな中、のちの古今亭志ん生(ビートたけし)こと美濃部孝蔵(森山未來)にも変化が。
師匠の橘家円喬(松尾スズキ)から別の師匠・三遊亭小円朝のもとで修行してくるよう言われ、彼の地方営業について旅へ出ることに。
てっきり、孝蔵は破門だと思っていたけれど、そうではなく、「フラ」がある孝蔵の才能を開花させてやりたい一心で、円喬が提案した旅だった。
この「フラ」ってなによ、とウィキペディアで調べてみたら、「演者が生まれつき持った滑稽味。作為的でない、自然と湧き出るおかしさ」ということだそう。
それで今回、この「フラ」とかけて、 円喬を「フラフラ」にさせるシーンが。
具体的には、孝蔵を見送るため、円喬が車夫の清さん(峯田和伸)の人力車に乗るはずが乗り損ねて、結局、駅まで走ることになってしまった場面。
だから、駅について汽車に乗っていた孝蔵へ「『フラ』があるんだから」と伝え終えた後ろ姿は「フラフラ」(笑)。
「俺がフラならあんたフラフラじゃねえか」と孝蔵が思わずつぶやいたのもおかしかった。
一方、四三はオリンピックと帰国後のギャップに戸惑いながらも、4年後にも大会に出る決意は揺らがなかった。
だから、また新たなトレーニング法を考え、クソ真面目に日々、マラソンの練習に取り組む。
「4年後のオリンピックで結果を出す」と言う四三に、永井(杉本哲太)やその弟子・二階堂(寺島しのぶ)は、「無謀だ」、「暴挙だ」と言い出す反面、彼の海外経験を今後の体育教育の参考にしようとしているところが、ちょっとズルい。
その後、四三は兄・実次(中村獅童)から熊本へ帰るよう連絡が入ったので、実家へ戻る。
大会出場後、結果が悪かったことで、「失望した」なんて手紙をよこしてきたから兄や家族と会うのが憂鬱な四三。
でも、帰ってきた途端、結果を責めるどころかうれしそうにどこかへ引っ張る兄。
どこへ向かうのかと思ったら、スヤとお見合いすることになって仰天!
ストックホルムから帰ってきたというのに、まわりのあらゆる思惑に巻き込まれ、困惑しっぱなしの四三の姿は、円喬の「フラフラ」な後ろ姿に重なる。
しかも、そうやって振り回されて慌てふためく四三は、狙っているわけではないのにおかしみがある=「フラ」がある。
14話は、四三にある「フラ」と彼に起こった「フラフラ」な出来事を強調するために、孝蔵の「フラ」シーンがあったのかな、と私には思えた。
さて、今回個人的によかったシーンは、オリンピックのニュース映画を四三と三島が2人で観に行ったところ。
実際には自分たちの姿なんて全然映ってないんだけど、その映像のおかげで「自分はやっぱりオリンピックに出場したんだ!」と2人して確信し合うシーンは、胸が熱くなった。
こういう、ちょい泣きシーンも入れてくるのがいいよね、クドカン。
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