スペシャルドラマとして放送された『ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ』を視聴。
スペシャルドラマ『ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ』|テレビ朝日
感染すると自分の本音をラップとして唱える「ラッパーゾンビ」になってしまう謎の感染症が、一夜にして世界中に蔓延。
主人公・みのり(小芝風花)の住む茨城もラッパーゾンビが増殖しつつあった。
そんな事件が起こる前日に、みのりは彼氏の拓馬(佐藤寛太)がラップに激ハマりしていることが許せないとケンカしたばかり。
でもまだまだ彼に未練があるものだから、彼の安否が心配になって探しに行くも行方不明。
ラッパーたちの聖地である地元のライブハウスに彼が行くと話していたことを思い出し、その場所を探すがそこにはゾンビ化した拓馬がいて……。
簡単に言ってしまうと彼氏を救出するのがメインのストーリー。
でもみのりと同じくゾンビ化から免れてる高校生・マコト(萩原利久)、モカ(井本彩花)、2人の担任教師の加奈子(トリンドル玲奈)たちの出会いによって、みのりがなんで拓馬のことが好きなのか考えさせられることになる。
まず、ゾンビだらけの世の中になってタガが外れた加奈子がモカと付き合っていたマコトを奪って、18歳の年の差を乗り越え付き合ってる……なんて一般的な価値観に変化が起きた。
そしてモカはまだマコトへの想いを引きずっているから2人がいちゃついてるのなんて見たくもないはずなのに、悪態つきながらも生き残るため、そしてまたいつかマコトが振り向くんじゃないかと期待して加奈子とマコトと一緒に行動している。
そんな面倒くさい恋愛関係を目の当たりにしただけでなく、愛あるラップバトルをゾンビの前で仕掛ければ元に戻るなんて噂を耳にしてしまい……。
そしてみのりは拓馬の存在について考えはじめる。
ぶっちゃけ顔がタイプ、それに医学部生だから頭もいいし、かといって勉強一辺倒ではなく、人望もある。
そんな彼のスペックが好きなのかもしれない。
冷静になるとそんな邪な気持ちで付き合っていたからラッパーの彼氏なんて恥ずかしいと思っていたのかとみのりは実感したのだけど、実際、ゾンビ化してしまった彼を目の前にするとそれだけとも違う、うまく言語化できないほど愛してた気持ちが溢れてくるみのり。
このドラマ、一応ホラーコメディと謳っていて、ゾンビがラップするのもしかり、話がひと段落するとサブタイトルが入ったりするし、登場人物の行動を映すシーンもラップっぽい軽快さを持たせる映像にしていたり、ラップゾンビはレコードが好きとか、ユニークな演出が満載だからそちらに目がいってしまいがちけど、その実、「愛とはなんだ!」と普遍的なテーマを投げかけているのがおもしろい。
そして、打算とかズルさとか、でもそれだけで割り切れない愛着とか……理屈ではどうにもならない恋愛の複雑な心境を絶妙に描いているのが個人的に心に刺さった。
惚れた腫れたばっかりで、ウィークポイントも見せてくれる恋愛ものって少ないじゃない?
その両面を見せてくれた作品。
私はいいドラマだなと思ったんだけど、どうかな?
TVerとかテレ朝動画とかで配信されていると思うので見逃した人はぜひ。
ちなみに原作はこちら。