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『なつぞら』は朝ドラのテンプレ通り、「女の一代記」なのかと思っていたけれど……

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朝ドラを何作品も観ていると、
ヒロインには目標があって(途中で目標が出来たりして)、それを叶えるために奮闘。
その前後で伴侶を見つけて結婚、出産して、仕事とはまた別の葛藤が生まれる。
けれど、年齢を重ねて、「仕事も家庭も大変だったけど、そんな人生も悪くなかったな」なんて思って終わる「女の一代記」を描いていることが多い。

そんなテンプレート通りとはいかなかったのが今思い出す限り、『ひらり』と『あまちゃん』くらいかな?

私があまのじゃくだからなのか、テンプレ通りいかない話が好きで、『ひらり』も好きだったけど、今まで観てきた朝ドラの中でいまだに『あまちゃん』が一番好き。

そんな私の好みも手伝って、
『なつぞら』の大まかな流れ
(戦争孤児として北海道に流れ着き、やがてアニメーターになるという夢を描き、上京。
そして、夢を叶え、結婚し、子供も生まれる……)を事前に聞いてしまった途端、
「なーんだ、100作目だけあって安定のテンプレ通りじゃん」
とちょっとがっかりした。

連続テレビ小説「なつぞら」

とはいえ、予定調和にいかないこともあるだろうから、初回から観たけれど、特に今日の4話は心動かされた。

終戦後に引き取られた柴田家の牛小屋で働くなつ(粟野咲莉)。
柴田家の祖父・泰樹(草刈正雄)からの厳しい指導にも耐え、ひたすら一生懸命働いた。

そんなある日、泰樹と闇市へ出かけた帰りに彼の昔なじみの菓子屋へ立ち寄る。
泰樹はそこで作ってもらったアイスをなつに食べさせ、彼女を励ます意味でこう言うのだ。

「ちゃんと働けば必ずいつか報われる日が来る。
報われなければ働き方が悪いか、働かせる者が悪いんだ。
そんなとこはとっとと逃げ出しゃいいんだ。
だが一番悪いのは、人がなんとかしてくれると思って生きることじゃ。
人は人を当てにする者を助けたりはせん。
逆に自分の力を信じて働いていれば、
きっと誰かが助けてくれるもんじゃ」

戦争孤児として、兄弟とともに東京の闇市で働いて苦労してきた9歳のなつの心にもしみただろうけど、社会人になってだいぶ経っている私の心にもしみまくった。

「腐らず、人に甘えすぎず、粛々と働きます」

とテレビに映る、酪農者のはずなのにカーボーイ風の草刈正雄の前に誓った。

正直、朝ドラでよくやる女の一代記のテンプレートはもう飽きているんだけど、観続けているとこうやってポロッと思いがけず、いいセリフやいいシーンに出会えるから朝ドラ視聴がやめられない。

ちなみに、今回の『なつぞら』では、吉沢亮と井浦新と小手さん(小手伸也)の登場を密かに期待している。