【映画『沈黙のパレード』あらすじ・レビュー】“沈黙”と“パレード”の意味とは?

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映画『沈黙のパレード』のあらすじ

3年前に行方不明になっていた並木佐織(川床明日香)の遺体が、行方不明現場である菊野から遠く離れた静岡の火災した家屋から発見された。その家の持ち主の息子・蓮沼寛一(村上淳)は、以前菊野に住んでいて佐織と接点があった。しかも15年前に少女を殺害した疑いをかけられるも、証拠不十分で罪に問われなかった過去を持つ。
その蓮沼は現在、再び菊野に戻っていた。

そのため警視庁の内海薫(柴咲コウ)は蓮沼が犯人だと疑う。そして捜査に加わった彼女の先輩・草薙俊平(北村一輝)は、15年前の事件に関わっていて、あの時罪を立証できなかったせいで蓮沼が再び殺人事件を犯したと自分を責めるようになる。
見かねた内海が、草薙の友人でもある物理学者・湯川学(福山雅治)へ助けを求める最中、蓮沼の遺体が発見される。殺されたのは、並木家の料理屋がある町内で大々的に行われたパレードの日。

当日は、料理屋を営む佐織の父・祐太郎(飯尾和樹)、母・真智子(戸田菜穂)は腹痛を訴えた客の対応をしていたのでアリバイがある。とはいえ、佐織殺害の疑いがある蓮沼へ殺意を抱く可能性が高い並木夫妻を疑う内海と草薙。
しかし、彼らの店の常連である湯川は、彼らが疑われるのはおもしろくない。そこで捜査に協力し、蓮沼殺害のトリックを暴こうとするが、うまくいかない。

また並木夫妻以外に佐織の関係者にもアリバイがあった。彼女を娘のようにかわいがってきた戸島修作(田口浩正)も宮沢麻耶(吉田羊)もパレードを実行する関係者。歌手を目指していた佐織に歌のレッスンをしていた新倉直紀(椎名桔平)はパレード後に行われるのど自慢大会の審査員の準備中。そして新倉の妻・留美(檀れい)や佐織の恋人だった高垣智也(岡山天音)はパレードを見学していた。

だが、湯川があることに気づき、複雑に絡み合った事件の真相が明らかになる。

劇中のキーポイントとなるのが「沈黙」で、それが真相を隠す列のように見えるから「パレード」なのか!?

劇中にメインとなる事件は蓮沼の殺害。しかし、この犯人を解明することで、佐織の事件の真相にも近づく構造になっている。
ちなみに最初観たとき、いつもと違う飯尾さんの演技に見惚れてしまって、事件のトリックや真相の印象が薄くなってしまった。だからもう1回見たのだけど、タイトルの『沈黙のパレード』の意味がよくわかった。

まさにパズルのピースを一つひとつうまく繋げて起こったような話。もし誰かが何かを語ってしまうとパレードのようにきれいに並んでいた列が成立しなくなってしまう。つまり、真相が隠れなくなってしまう。そのことを、劇中のパレードに引っ掛けて比喩しているのだと思う。
そして、蓮沼の過去の事件でキーとなった黙秘、そして佐織の事件の真相についても沈黙に引っ掛けているように見える。

見れば見るほど、タイトルの意味が理解できる作品。飯尾さんの演技に驚いている場合ではなかったのだけど、おかげで二度鑑賞できて、物語を味わえたからよしとする(笑)。

湯川先生ってこんなにわかりやすく情に厚かったっけ?

トリックや話の構造、登場人物の人間関係はよかった。
けど、今回湯川先生がやけに並木家に肩入れしているのが気になった。
先生ってこんなに関わった人に対して情に厚い人だったっけ?
もっとクールで人を突き放すくせに、実は心配している……みたいな、ツンデレがすぎる人だったと思うんだけど。

それに、連ドラ時代からありえないとは思いつつ恒例になっていたあのシーンがない。それがどうも拍子抜けというか。確かに今回も先生がいなければ解決しない物語ではある。だけど、あれがなきゃ、「湯川先生が解決に導いた!」という実感がわかなかったんだよなぁ。
だから、物語としては味わい深い。でも連ドラからの「ガリレオ」シリーズの延長として見ると、少し肩透かしをくらった感じだった。
この消化不良をなんとかしたい……。だから、また新作の「ガリレオ」シリーズの映画(いやドラマでもいい)を観たい。

作品概要

タイトル:『沈黙のパレード』
公開日:2022年9月16日
キャスト:福山雅治、柴咲コウ、北村一輝、飯尾和樹、戸田菜穂、田口浩正、酒向芳、岡山天音、川床明日香、出口夏希、村上淳、吉田羊、檀れい、椎名桔平
原作:東野圭吾
脚本:福田靖
監督:西谷弘
動画配信:Amazon Prime Videoで見るU-NEXTで見る
ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/沈黙のパレード

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